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デフォルトモードネットワーク(DMN)とは?
意識的な活動中だけでなく安静状態のときでも、人間の脳は重要な活動を行っています。
基底活動に費やされている脳のエネルギー消費は、意識的な反応に対するエネルギー消費よりもはるかに多いです。
脳が意識的な活動をしていないときに中心になっているのが、複数の脳領域で構成されているDMNと呼ばれるネットワークになります。
このネットワークは脳内の様々な神経活動を同調させ、脳領域の活動を統括するための重要な役割を担っています。
DMNの主な特徴
DMNの主な特徴は、情報の整理とリスクへの備えです。
脳が完全に休んでいる状態だと、突然起こる危機に反応し辛くなります。
何か起こったときに速やかに反応できるように、脳の一部が待機状態になって備えています。
脳の役割のひとつが情報処理で、五感を通して様々な情報を収集します。
収集した情報は整理され、必要な情報が残ります。
情報は行動や言葉になってアウトプットされます。
DMNは整理の段階で重要な役割を担っています。
情報の整理が上手くいかないと、脳が過労状態になります。
過労状態になるとインプットした情報が脳に定着しづらくなり、活動が低下するリスクが高まります。
DMNが正常に動いていると、きれいに情報が整理されます。
蓄積した情報が結びつきやすく、創造力が高まるというメリットもあります。
DMNが活性化しすぎるのも問題で、活性化しすぎると今度は注意力が散漫になります。
脳の総エネルギーの6割から8割をDMNが占めているので、あまり働きすぎるとエネルギーが枯渇します。
エネルギーが枯渇すると、疲れを感じやすくなります。
休日に1日中ぼんやり過ごしていると、脳が休まらずに疲れてしまう人もいます。
なぜ疲れるかというと、脳のエネルギーがどんどん消費されているからです。
DMNが活発な状態と活発ではない状態のメリット・デメリット
DMNは活発な状態と活発ではない状態で、それぞれメリットとデメリットがあります。
活発な状態だと脳内の情報が整理され、アイデアが生まれやすくリラックスできます。
デメリットは脳が疲れやすくなり、注意力が散漫になりやすいです。
個人差はあるものの、ネガティブな感情になる人もいます。
DMNが活発ではない状態だと、集中力が高まり脳のエネルギー消費を抑制できます。
ネガティブ思考にもなりにくいというメリットがあります。
反対に思考の柔軟性がなくなり、脳にインプットされた情報が整理されず記憶に悪影響を及ぼす可能性も出てきます。
瞑想によってDMNを活性化させることが可能
DMNを活性化させたい場合は、瞑想を利用する方法があります。
瞑想は大きく分けて観察瞑想と集中瞑想があり、集中瞑想は一般的な瞑想に近いものです。
自分の意識を呼吸や体の一部に集中させ、精神統一を図ります。
観察瞑想というのは、無理に集中しようとはせずに瞑想中に浮かぶ雑念や感情をそのまま観察する手法です。
身体の姿勢を整え、背筋を伸ばして力を抜きます。
呼吸は精神状態と深くつながっています。
息を吸っているときは交感神経が優位になり、息を吐くときは副交感神経が優位になります。
交感神経は身体を活動モードにする神経で、副交感神経は身体を休息モードにする神経です。
5秒ほど息を吸って、10秒から15秒ほどかけて息を吐きます。
瞑想では息を吐く時間を長くして精神を落ち着けます。
深く静かな呼吸を続けて、次々と出てくる感情や思考に身を委ねます。
観察瞑想では心を無にする必要はなく、自然体で客観的に自分の心を観察します。
DMNは、意識が自由に発散できる状態ができると活性化するという特徴があります。
日本でもマインドフルネスが話題になっていますが、マインドフルネスの実践によりDMNが過剰に働くのを防ぎます。
マインドフルネス瞑想は、強力なDMN管理方法のひとつです。
マインドフルネスは、今の瞬間を大切にする生き方を指します。
マインドフルネス瞑想は福祉や医療の現場でも取り入れられ、様々なメディアでも紹介されています。
瞑想を続けると、脳の認知機能やEQスキルの向上が期待できます。
マインドフルネス瞑想は、普段のままの呼吸で大丈夫です。
身体の感覚に意識を向け、自分の呼吸に注意します。
マインドフルネス瞑想では、雑念が出てきても消さないでそのままにしておきます。
重要なのは、雑念が浮かんでいるという事実に対する気付きです。
雑念が浮かんでいるとわかったら、呼吸に注意を戻します。
マインドフルネス瞑想では、あるがままの自分が重要です。
ジャッジをせず、あるがままの姿を受け入れます。
瞑想が苦手な人は、空想をする方法もあります。
肯定的で建設的な空想をPCDと呼びます。
楽しい気分になれる空想を行うと、脳の集中状態を解除して心を静かに緩められます。
自分が心地よくなる空想をすると、脳内に眠っていた様々な記憶が出てきてDMNの活性化につながります。
スマートフォンの使い過ぎに注意
日本では多くの人がスマートフォンを日常的に使っています。
1日中スマートフォンを使っている人もいますが、スマートフォンはDMNの働きを妨げます。
色彩の情報量が多く脳が疲れやすくなるので、脳の疲労を避けるにはスマートフォンを使う時間の管理も重要になります。